1. 誤字脱字チェックツールとは?

誤字脱字チェックツールは、文法の誤りやタイプミスを自動的に発見して修正できるサービスです。例えば、「私の名前田中です」のような「てにをは」のミスを検知して、「私の名前田中です」と正しい文書に修正することができます。

従来、誤字や脱字のチェックは、人の手で行われてきました。しかし近年ではテクノロジーが発展し、文の誤りを自動で正確に修正できるようなツールが開発されてきています

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文章を入力するごとに、誰でもリアルタイムで文章のミスがチェックできます。
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2. 誤字脱字ツールのメリット

文の誤りを自動で修正できる、誤字脱字チェックツールを使うことによって、以下のようなメリットがあります。

2-1. チェックにかかる時間を短縮できる

ツールを使うことで、誤字脱字のチェックにかかる時間を短縮することができます。人間が1秒で読める文字数は5〜10文字程度のため、人が文章校正を行う場合、10,000文字の文章を読むだけでも約16〜33分かかると言われています。そこに誤りを指摘する時間を加えると、それ以上の時間がかかります。

しかし、ツールを取り入れることによって、単純なミスはツールが機械的に検出してくれます。人間は、人間にしか行えない内容に関わるチェックに集中することで、業務全体を効率化することができます

2-2. 客観的な意見を取り入れて、より分かりやすい文章に改善できる

機械的なチェックを組み込むことによって、人間の目では見逃してしまうこともある間違いを発見することができます

例えば、文が分かりにくくなる原因としてよく挙げられる「長すぎる文」を自動的に検知して、どのように分割するべきかを提案してくれる文章校正ツールもあります。

客観的に検知できるからこそ、人間が見落としてしまう分かりにくい箇所を発見して、文章のレベルを一段階高めることができます

3. 誤字脱字チェックツールのデメリット

一方で誤字脱字チェックツールには、以下のようなデメリットが挙げられます。

3-1. 校閲まで行おうとすると人間に軍配が上がる

誤字脱字チェックツールは文法の誤りを検知することに特化したサービスです。文章に書かれている内容・事実確認といった「校閲」は範囲外のため、人間が行う必要があります。

3-2. 誤った提案も一部含まれる

誤字脱字チェックツールは、人間のように幅広い誤字脱字を検知することができます。しかし、多くのAIツールがそうであるように、一定量の誤った提案が含まれることを理解しておく必要があります。

ミスが全くゼロのツールは存在せず、検知率やミス率で性能を評価するのが一般的です。そのため、仕事においては人間の補佐役として活用するような使い方に期待が寄せられます。

4. 誤字脱字のチェックポイント

ツールを評価するうえで理解しておきたいのが、「文章にはどのような誤字脱字があるのか」といった点です。このような観点をチェックできるツールを導入することで、効率的にチェックを進めることができます。

ツールでチェックできる誤字脱字 内容
てにをはの誤り 助詞の抜け、誤った助詞、余分な助詞
タイプミス タイピングによる単語の入力誤り
送り仮名のミス 漢字の送り仮名の誤り
漢字のミス 同音異義語などの漢字の誤り

4-1. てにをはの誤り

特によく見られる誤字脱字が、助詞の誤りです。以下のように本来「を」を使う場面で「に」を使ったり、助詞が連続したりするような間違いがあります。

ラーメン食べる、ラーメンをを食べる

ラーメン食べる

4-2. タイプミス

キーボードの操作ミスで発生するのがタイプミスです。タイポと呼ぶこともあります。以下の例のように、隣にあるキーを押し間違えて変換したままにすることなどで、タイプミスが発生します。

rンターテインメント

エンターテインメント

4-3. 送り仮名のミス

日本語の送り仮名は、内閣告示「送り仮名の付け方」(1973年6月)で定められています。しかしこの送り仮名の付け方には複数のルールが含まれているため、パソコンやスマートフォンで入力をする際、意図せずに通常使用している送り仮名と異なる送り仮名を使用してしまう場合があります。推敲を繰り返すうちに誤った表記が残ってしまうケースも見受けられます。

行なう

行う

4-4. 漢字のミス

誤変換によって、誤った漢字が使用されている誤字も多く見られます。日本語の漢字は同じ音で異なる意味を持つ「同音異義語」が多いため、タイピング後の変換時に誤ったものを選択してしまうことで漢字のミスが発生します。

部長は以外にもおっちょこちょいだ。

部長は意外にもおっちょこちょいだ。

5. 誤字脱字チェックツールを選ぶポイント

誤字脱字チェックツールを選ぶポイントとしては、「一定以上の精度」「検知項目の豊富さ」「使い心地の良さ」の3点が挙げられます。

5-1. 一定以上の精度

誤字脱字チェックツールを選ぶ際、一定以上の精度が期待できることは大きなポイントです。AIやプログラムによる校正は誤字脱字を100%検知するものではなく、実際にはツールによって、検知率が大きく異なるためです。

特に、誤字脱字のチェックポイントとして挙げた「てにをはの誤り」「タイプミス」「送り仮名のミス」「漢字のミス」については、ボリュームも多く、基礎的な内容となるため、この4点に注目して精度を評価することが適切なツール選びにつながります。

5-2. 検知項目の豊富さ

検知できる項目の豊富さも重要な観点です。誤字脱字にはさまざまなバリエーションがあります。

しかし無料のツールの場合、こうした検知項目の数が十分ではないことが大半です。項目が少なければ、それだけ人間の目でチェックしなければならない誤字脱字の分量が増加し、ツールを使用するメリットが薄れます。

5-3. 使い心地の良さ

業務でよく使うことになるツールとしての使い心地も重要な要素です

例えば、何度修正ボタンをクリックしても何かしらの修正点が常に残ってしまうツールや、修正箇所が分かりにくいツールなどもあります。文章作成やチェック業務を邪魔しないインターフェースであることも確認しましょう

6. おすすめの誤字脱字チェックツール10選

ツールを選ぶポイントに沿って検証した、無料・有料の誤字脱字チェックツール10個をご紹介します。

今回の検証では、全4万文字を用意して、それぞれのツールの性能を評価しています

検証方法:インターネット上から無作為に抽出した文章の中から、誤りを含む文章を目視で抽出。誤字脱字チェックツールの代表的な機能である「助詞の誤り」「タイプミス」「送り仮名のミス」「漢字のミス」の4つの項目ごとに、それぞれ200個の文、合計800文・全4万文字を用意しました。そしてその全ての文章で正解文を手作業で作成しました。それぞれのツールで提示される修正候補をすべて反映し、修正候補が表示されないものについては反映せずに修正前・修正後の文章で該当の誤り部分が修正されているかどうかを機械的に判定しました。全800文中、事前に用意した正解にどれだけ一致していたかを計測しました。

6-0. 結果の概要

今回調査した10個の誤字脱字チェックツールを、価格と精度の2軸でマッピングしました。その結果、全体的にAIを活用した有料のツールはより精度が高く、十分なチェックができることが分かりました

誤字脱字ツールマッピング

10個のツールの価格や精度は以下の通りです。精度は、満点である800点に近いほど精度が高い状態となります

No ツール名 月額料金 使用環境 検知の精度(800点中)
1 wordrabbit 880円/3,100円 オンライン(ブラウザ) 602点
2 Microsoft Word 1,490円/2,100円 オンライン(ブラウザ、アプリ) 40点
3 ATOK クラウド文章校正 600円 オンライン(ブラウザ) 22点
4 Shodo 1,000円/2,000円 オンライン(ブラウザ) 426点
5 typoless 2,200円/5,500円 オンライン(ブラウザ) 582点
6 Google ドキュメント 無料 オンライン(ブラウザ、アプリ) 382点
7 ChatGPT 無料 オンライン(ブラウザ、アプリ) -
8 Enno 無料 オンライン(ブラウザ) -
9 PRUV 無料 オンライン(ブラウザ) -
10 プレスリリース校正ツール 無料 オンライン(ブラウザ) 372点

 

(※)ChatGPTは入力した文に対して出力した文の言い回しが変更されてしまうため測定不可。Enno、PRUVは判定されるが修正候補が提案されない仕様のため測定不可。

6-1. wordrabbit

wordrabbit

wordrabbit(ワードラビット)は、今回調査した10個のツールの中で最も高い精度が出る評価となりました。

誤字脱字以外にも、文法、ミスタイプ、漢字の誤り、漢字とひらがなの使い分け、表記ゆれなど多くのチェック項目にも対応しています。「スタイルガイド」という禁止用語や、言葉の言いかえができる機能も標準搭載しているため、ビジネス用途で使用して、文章全体の精度を短時間で上げることができます。

項目 内容
精度 602点 (800点中)
検知内容 文法、誤字脱字、ミスタイプ、漢字の誤り、表記ゆれ、漢字の使い分けなど
料金 880円(スターター)、3,100円(プロフェッショナル)
特徴 一定の精度で、多くの項目がチェックできる

6-2. Microsoft Wordの校正機能

word

Microsoft Wordは、マイクロソフト社のOfficeに含まれるソフトウェアです。Wordの画面上にあるメニューで「校閲」>「スペルチェック」と選択すると、誤字脱字やスペルミスをチェックすることができます。

基本的には文章作成ツールがメイン機能のため、誤字脱字チェックの精度は高くはありませんが、文字数の制限もないため、業務ですでにWordを使用している場合には、手軽に利用することができます

項目 内容
精度 40点(800点中)
検知内容 誤り語、仮名遣いの誤り、くだけた表現、「の」の連続、助詞の連続、助詞の用法など
料金 1,490円(Microsoft 365 Persona)、2,100円(Microsoft 365 Family)
特徴 検知はしても修正候補が出ない場合がある(今回のテストでは約半数以上が修正候補が出現しない検知のみの対応)。

6-3. ATOK クラウド文章校正

atok

ATOK(エイトック)クラウド文章校正はジャストシステムが提供する「ATOK Passportプレミアムプラン」に含まれるツールです。1回のチェックで入力できる文章は1万文字まで。

日本語入力システムであるATOKを利用することができるため、日本語入力システムを検討している方におすすめのツールです

項目 内容
精度 22点(800点中)
検知内容 誤字・脱字などの誤りや表記揺れ
料金 600円(プレミアム)
特徴 ATOKを導入すれば、誤字脱字チェックだけではなく入力時の変換にも使うことができる

6-4. Shodo

shodo

Shodo(ショドー)は、ブラウザ以外にもさまざまなシーンで使うことができる誤字脱字チェックツールです

Chrome拡張機能、Google docsアドオンなどの機能があるので、自分のいつも使っているエディターに機能を組み込むことができます。

項目 内容
精度 426点(800点中)
検知内容 誤り語、仮名遣いの誤り、くだけた表現、「の」の連続、助詞の連続、助詞の用法など
料金 無料(ベーシック)、1,000円(プレミアム)、2,000円(ビジネス)
特徴 機能拡張やGoogleアドオンにも対応している

6-5. typoless

typoless

typojess(タイポレス)朝日新聞が提供する誤字脱字チェックツールです。高精度の文章校正サービスとして、新聞がチェックしているような不適切な表現なども検知することができます。

スタンダードプランは2,200円、プレミアムプランは5,500円で利用することができます。

項目 内容
精度 520点(800点中)
検知内容 助詞、同音異義語、タイプミスなど
料金 2,200円(スタンダード)、5,500円(プレミアム)
特徴 新聞社が開発する文章校正サービス

6-6. Google ドキュメントの文章校正機能

google

Google ドキュメントの誤字脱字チェック機能は、無料のGoogleのアカウントがあれば、誰でも利用できるツールです

検知項目は十分とは言えませんが、無料ツールの中ではもっとも高い精度が出ているため、無料のツールを探している方はまず検討すべきツールだといえます。設定をオフにしていなければ文章上に自動で表示されるため、気軽に取り入れることができます。

参考:Google ドキュメントでスペルや文法をチェックする

項目 内容
精度 382点(800点中)
検知内容 助詞の誤り、タイプミス、漢字の誤りなど
料金 無料
特徴 表記ゆれや漢字とひらがなの使い分けなど、検知できない項目もあるが、文字数制限などもなく、無料で誤字脱字が検知できる

6-7. ChatGPTを使った誤字脱字チェック

chatgpt

Chat GPTは、世界的に利用が拡大している生成AIツールです。文章やプログラムの作成など、多くの用途で使用することができるツールで、文章の校正や誤字脱字チェックにも利用できます。

Chat GPTのインターフェースはチャット形式のため、「プロンプト」と呼ばれる指示文とともにチェックしたい文章を、チャット画面に入力します。

Chat GPTの特徴は、文章の修正が「流暢な訂正」であるという点です。プロンプトに文法修正以外は行わないでほしい旨を記載したとしても、文の意味が変わってしまうことがあるため、「厳格な文章校正ではなく、文の意味がある程度変更されるのも許容する」という方に向いています

項目 内容
精度 -(測定不可)
検知内容 助詞の修正、漢字の修正など
料金 無料
特徴 プロンプトで指示しても誤字脱字だけでなく文章自体の意味を変更する修正が行われる場合がある。1度に送信できる量に制限がある。修正箇所や修正理由が分からない。

6-8. Enno

enno

ennoは無料で使える誤字脱字チェックツールです。検知されたうえで修正候補は提示されない仕様となっているため、まずは無料で試してみたい方におすすめのツールです。画面上に広告が表示されます。

項目 内容
精度 -(計測不可)
検知内容 タイポ、変換ミス、誤字脱字など
料金 無料
特徴 修正候補は提示されない。

6-9. PRUV

pruv

PRUVは無料で使用できる誤字脱字チェックツールです。Trialの場合は無料で利用できますが、画面上に広告が表示されます。まずは無料で試してみたい方におすすめのツールです。

項目 内容
精度 -(計測不可)
検知内容 誤字脱字、慣用表現、呼応表現、ら抜き言葉など
料金 無料(Trial)、550円(Pro)
特徴 Trialプランは無料で利用できる。

6-10. プレスリリース校正ツール

press

プレスリリース校正ツールは、バリュープレスが提供する文章校正ツールです。検知にはYahoo!JAPANが提供するテキスト解析WebAPIを利用しています。

プレスリリース配信ツールであるValuePress!のアカウントを作成することで、1日1回(3000文字まで)無料で利用できて、さらに有料プランの場合には1日10回まで利用することができます。

項目 内容
精度 372点(800点中)
検知内容 誤変換、誤用、使用注意、不快語、機種依存、外国地名、固有名詞など
料金 無料
特徴 1日1回3000文字までの範囲で無料で利用できる

6-11. 【補足】ChatGPTで誤字脱字をチェックするためのプロンプト

ChatGPTを使って誤字脱字チェックを行う場合、以下のようなプロンプトをチェックする文章とともに入力することで、生成AIに校正をしてもらうことができます。

以下の文章の誤字脱字を指摘してください。ただし、文末の「ですます調」や、言い回し、文の内容は変更せずに、文法が誤っている箇所だけ修正してください。

7. まとめ:誤字脱字チェックツールを活用すれば、より効率的に精度の高い文章が作成できる

おすすめの誤字脱字チェックツールに加えて、よくある誤字脱字のパターンを、幅広く解説しました。特に業務で文章をチェックする皆さんにとって、短時間で精度の高い誤字脱字チェックを行うことは、業務効率化の鍵となります。

過去にさまざまなツールを試してきた方も、AIの活用によって進化した新しいツールを使えば、より効率的に文章のチェックを行うことができるはずです。AIは大きく進化してます。この記事が、ツールやアプリを選び、業務を見直すための参考になれば幸いです。