「比較構文」で文をわかりやすくする

文の中で何かと何かを比べる比較構文を作る際には、何と何とが比較されているのかを明確にし、比較の対象を書きます。言葉が足りずに比較対象が曖昧になったり、比較対象が書かれていなかったりすると、読み手の誤読や理解不足につながりやすくなります[*出典]

比較構文のポイント

  1. 何と何とが比較されているのかを明確にする
  2. 比較の対象を書く

1. 何と何とが比較されているのかを明確にする

比較する際には、何と何とが比較されているかを明確にします。よく見られる誤りは、比較しているにも関わらず、語句が足りずに比較がどこにかかるかが明確でないケースです。書き手には何と何とが比較されているかがわかっていても、読み手には伝わりません。比較する際は、誰が見ても比較対象が明らかになるように書きます。

小林さんは青山さんより中田さんを支援した。

青山さんが中田さんを支援したより多く、小林さんは中田さんを支援した。 (小林さんと青山さんとを比較する場合)

小林さんは、青山さんではなく中田さんを支援した。(青山さんと中田さんとを比較する場合)

悪い例には3名の名前が出てきますが、誰と誰とが比較されているのかが曖昧です。文に語句を補って、誰と誰とを比較しているのかを明確にする必要があります。

2. 比較の対象を書く

比較する際には、比べる対象を省略しないようにします。比較の対象を省略すると、読み手は自分自身の常識に照らし合わせた誤解をしたり、意図しない誤読をしたりしやすくなります。たとえば「もっとも良い」「これはよりよい方法」という比較の言葉を使う際には、何の中でもっとも良いのか、何より良いのかを書きます。

この手順がもっとも速いやり方です。

この手順が今まで私が試した中でもっとも速いやり方です。

悪い例では、比較対象が抜け落ちていて比較が不完全になっています。何の中でもっとも速いやり方なのかを明確に書きます。

[出典]
H.J.Tichy『Effective Writing for Engineers, Managers, Scientists Second Edition』John Wiley & Sons, Inc、1988