「並列表現」で文をわかりやすくする

場面に応じて「並列表現」を活用することで、理解しやすい文を書くことができます。並列表現は、文法的に同じ構成を繰り返します。同じ文法構成の文章の場合もあれば、箇条書きの場合もあります。並列表現を使うことで、文のリズムをよくして長文でも読みやすい構造にすることができます。

ニューヨーク市立大学リーマン校の教授であったチッヒー氏は「文を強調する有力な方法は並列化である。並列になる考えは同じ文法構造を取る。同じ文法構造を繰り返すことは、長文を読みやすくするもっとも効果的な方法である」と指摘しています[*出典]

並列にするためには、以下の方法があります。

並列にするための方法

  1. 同じ文法構成を繰り返す
  2. 箇条書きにする

1. 同じ文法構成を繰り返す

並列構造の1つ目の方法が、文法的に同じ構成を繰り返して並列構造にすることです。違う文法構成のものを混ぜて並列に並べてはいけません。

「連体修飾+名詞」を繰り返す例

私の好きな食べ物は、千葉の落花生、青森県産のりんご、広島で取れるカキです。

私の好きな食べ物は、千葉の落花生、青森のりんご、広島のカキです。

「連体修飾+名詞」や「主語+動詞」を並べて書くことでリズムよく、理解しやすい文を作ることができます。

「主語+動詞」を繰り返す例

オリンピック選手が走る速さと、学生では比べものにならない。

オリンピック選手が走る速さと、学生が走る速さでは比べものにならない。

悪い例は、「オリンピック選手が走る速さ」と「学生」という文法的に違う構造のものが並べられています。

「名詞」を繰り返す例

この製品の特徴は、デザイン性機能が優れていることです。

この製品の特徴は、デザイン性機能性です。

接続助詞である「と」の前後は、名詞と名詞でつながれるべきです。悪い例では、名詞と節がつながれているので誤りです。

2. 箇条書きにする

並列構造を作る2つ目の方法が、箇条書きで書くことです。箇条書きとは、項目をいくつかに分けて並べて書くことです。注意すべきなのは、文法的に同じ構成のものを並べて作る必要がある点です。文章と名詞を並べたり、能動態と受動態を混ぜたりするなど、文法上異なるものは並べません。

箇条書きのポイント

  • 同じ構造の文章を連続させる
  • 名詞の場合は名詞を連続させる

[出典]
H.J.Tichy『Effective Writing for Engineers, Managers, Scientists Second Edition』John Wiley & Sons, Inc、1988
[参考]
並列構文に関する指摘は、欧米ではアメリカ合衆国の代表的なスタイルガイド『シカゴスタイル』はもちろんのこと、欧米の大学の教材としても用いられる『The Elements Of Style』から、テクニカルライティングの名著といわれる『The Elements of Thechnical Writing』など、あらゆる書籍で指摘されています。