助詞とは

助詞は、言葉に意味を肉付けする語です。「〜を」や「〜が」など、名詞に接続して言葉の意味を補足語や主語にしたり、「〜と」のように語と語をつなげたりする言葉を、まとめて助詞といいます。

例えば次の例では、( )の中に入る語が一語違うだけで、読み手の受け止め方が全く変わってきます。

太郎( )花子( )怒る。

「太郎と花子が怒る、太郎が花子を怒る、太郎を花子が怒る」など、助詞が入れ変わるだけで、太郎と花子がどういう関係で、書き手がどういうことを言いたいかが全く変わってきます。

言葉と言葉をつなぎ、微妙な意味を肉付けする重要な役割を果たすのが助詞です。

助詞の例文

助詞の例としては、次のようなものがあります。

  • 咲いた。(主語であることを示す助詞「が」)
  • 高いから買わない。(理由をあらわす助詞「から」)
  • 兄ちゃんをいじめる。(禁止をあらわす助詞「な」)

助詞の特徴・働き

助詞の特徴は、付属語であり活用がないことが挙げられます。この2つは大切なポイントとなりますので覚えておきましょう。

特徴(1)助詞は付属語である

助詞は、「が」「の」など、それだけでは意味が分からない語です。他の語に付属するため付属語と呼ばれます。

例えば「動く(動詞) 」「野菜(名詞) 」などの自立語とは違い、助詞1語だけでは意味がわかりません。自立語(動詞・名詞・形容詞・形容動詞など)の後ろにくっついている1文字から3文字の付属語の中で、活用がないものが助詞です。

特徴(2)活用がない

助詞には活用がありません。活用がないとは、「〜ます・〜ました」というように形が変わらないことをいいます。

助詞の特徴

  • 付属語(それだけで意味が分からない)
  • 活用がない(後ろにくる語によって形が変わらない)

助詞の使い方・種類の一覧

助詞は、格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞の4つに分類されます。それぞれの種類の助詞の一覧や使い方とともに解説します。

(1)格助詞

格助詞とは

格助詞は、おもに体言(名詞など)のうしろについて、その体言が、文中の他の言葉に対してどのような関係かを示す働きをする助詞です。

とりわけ格助詞は文章の中で重要な意味を持ちます。日本語は「述語」と「格助詞」で文章全体の意味が表されます。例えば「○○で○○が○○を食べた」という文章は、格助詞と述語だけの文章ですが、これだけでも、どこかで誰かが何かを食べたのだろうという意味が伝わります。

格助詞の種類

「が・を・に・へ・と・より・から・で・や・の」の10種類

格助詞の覚え方は、「鬼が戸より出、空の部屋(ヲ/ニ/ガ/ト/ヨリ/デ、カラ/ノ/ヘ/ヤ)」という語呂合わせで覚えます。

格助詞の使い方・働き

格助詞には主語・連体修飾語・連用修飾語・並立をあらわす4つの使い方があります。

1. 主語であることを示す働きをする「が」「の」
助詞「が」「の」をつけることで、主語であることを示します。「〜の」も主語をあらわすことがあります。

  • ひまわり咲く。
  • ひまわり咲く季節だ。

2. 連体修飾語であることを示す「の」
助詞「の」をつけることで、連体修飾語であることを示します。連体修飾語は体言(名詞)を修飾する語です。

  • 子供運動会。 助詞「の」が、すぐ後ろの体言「運動会」を修飾しています。

3. 連用修飾語であることを示す「を」「に」「へ」「より」「で」
助詞「を」「に」「へ」「より」「で」をつけることで、連用修飾語であることを示します。連用修飾語は、用言 (動詞、形容詞、形容動詞) を修飾する語です。

  • ラーメン食べる。
  • 将来パイロットなる。 助詞「を」「に」がすぐ後ろの用言「食べる・なる」を修飾しています。

4. 並立の関係であることを示す「と」「や」「の」
助詞「と」「や」などをつけることで、並立の関係であることを示します。

  • 浴衣下駄とを買う。
  • 行く、行かない

補足:「の」は格助詞としない場合もある

学校で習う文法では「の」を入れて10種類ですが、学術的な日本語文法では「の」は除外されて9種類となります。これは、学校文法では「の」は主語を作る格助詞としていますが、日本語文法では、この働きを例外としているためです。

たとえば「雪の降る日に出かけた = 雪が降る日に出かけた。」の文では、学校文法の解釈では、「の」は「が」に意味を置き換えられるため、主語をつくる助詞となりますが、一方、日本語文法の解釈では、これは「雪の日」という意味になるため、「の」の例外的な用法としています。

複合格助詞

「について」「によって」などの複数の「語」がまとまって格助詞に相当する機能をつくることがあります。このような語を複合格助詞と呼びます。

「のおかげで」「にかけて」「をはじめ」「に際して」などの言葉も複合格助詞です。

(2)接続助詞

接続助詞とは

接続助詞は動詞などの用言や、「〜ます」などの助動詞の後ろについて、前後の文節を接続する助詞です。

接続助詞の例

接続助詞は次の言葉です。

「ながら、ば、と、ても、が/けれど/けれども、のに、ものの、ところで、ので、から、し、たり、て」

接続助詞の働き・使い方

接続助詞には、順接・逆説・単純接続の3つの働きがあります。

1. 順接の働き
順接の働きをする接続助詞は、後ろに当然の結果が続きます。

「ので、から、ば、と、て (で) 」

  • 雨が降れビアガーデンは中止だ。
  • 走ったので間に合った。

2. 逆説の働き
逆説の働きをする接続助詞は、後ろに予想外の結果が続きます。

「が、ても、ところで、のに、ものの、ながら、けれど」

  • どんなに食べても太らない。
  • 寒いのに汗をかいている。

3. 単純接続・並立の働き
単純接続・並立の働きをする接続助詞は、単純に接続します。

「が、し、ながら、たり、て、で」

  • これから会議があります、参加しますか。
  • 食べながら考える。

(3)副助詞

副助詞とは

副助詞とは、いろいろな語に意味を添える働きがある助詞です。副助詞がつくことで文に意味が加わります。

副助詞の例

副助詞の例としては次のようなものがあげられます。

は、も、こそ、さえ、でも、ばかり、など、か

副助詞の働き・使い方

副助詞は20以上の種類があり、意味を添えます

ここでは代表的な「は、こそ、も、さえ」の微妙な意味の違いについて解説します。

副助詞「は」

副助詞の「は」には3つの意味があります。

種類1. 他と区別する意味を持ちます。たとえば、「高橋部長素敵だ」とすることで、高橋部長を他の人と区別し、暗に他の人はかっこよくないということをあらわしています。それに対して「高橋部長かっこいい」とすると、他と区別するという意味はないので、他の人はかっこよくないというニュアンスはなくなります。なお、特に区別する意図がない場合は、「は」ではなく「が」などを使うように心がけるとよいでしょう。

種類2. 強調の意味を持ちます。たとえば「彼がやったと思えない」を「彼がやったと思えない」とすることで、文を強調することができます。

種類3. 繰り返しの意味を持ちます。たとえば「おもちゃ箱をひっくり返して戻している」を「おもちゃ箱をひっくり返して戻している」とすることで、何度もという意味を付け加えています。

副助詞「こそ」

副助詞の「こそ」には指定強調の意味があります。「こそ」を使うことで、とても強い意思をあらわすことができます。

「山田くんがスターにふさわしい」を「山田くんこそスターにふさわしい」とすることにより、たくさんの人がいる中で山田くんを指定して強調しています。

副助詞「も」

副助詞の「も」には、同類・強調・並立の意味があります。

同類の意味。「なわとびが得意だ」を「なわとび得意だ」とすることでなわとび以外のものも得意であるという意味を付け加えています。

強調の意味。「銀行で振込をするのに1時間かかった」を「銀行で振込をするのに1時間かかった」とすることで、強調の意味を加えています。

並立の意味。「父も母も」とすることで、父と母が同じ並立だという意味を加えています。

副助詞「さえ」

副助詞「さえ」には、類推の意味、限定(強調)、添加の意味があります。

類推させる意味。「触れることができない」を「触れることさえできない」とすることで、手を繋ぐことももちろんできないと、読者に推測させる意味を持ちます。

限定(強調)の意味。「君がいればいい」を「君さえいればいい」とすることで、限定して絞り込む意味を付け加えています。英語ではonlyの意味です。

添加(付け加え)の意味。「ひらがなが書けない」を「ひらがなさえ書けない」とすることで、漢字が書けないことに付け加えて(プラスして)ひらがなも書けないという意味を付け加えています。

(4) 終助詞

終助詞とは

終助詞とは文末について、さまざまな意味を添える助詞です。終助詞がつくことで文に細かなニュアンスが加わります。

終助詞の例

か、な、ね、よ、ぞ、とも、なあ、や、わ、ねえ

たとえば、「机の上をちらかす」というように、最後に「な」を加えることで、禁止の意味を付け加えています。

終助詞の働き・使い方

1. 疑問・質問の意味。「か、の、ね、かしら」などがあります。「明日は締め切りです」が「明日は締め切りです」になることで、疑問の意味を加えています。

2. 反語の意味。「三橋さんが締め切りを忘れるだろう。」という文では、「〜するだろうか、いやそんなわけがない」という意味を加えています。

3. 禁止の意味。「書いたあとに読み返すことを忘れる。」という文では、「書いたあとに読み返すことを忘れる」を「読み返すことを忘れるな」とすることで、禁止の意味を加えています。

4. 感動の意味。「な、なあ、や、か、よ」などがあります。たとえば「彼女のスケートは本当に美しいなあ。」というように「美しい」を「美しいなあ」とすることで、感動の意味を付け加えています。

5. 念押しの意味。「よ、ぞ、ね、な、や」などがあります。「会議に出席してくれるよ。」ということで、念押しの意味を加えています。

6. 呼びかけの意味。「や、と」などです。「百恵、近くに来ておくれ。」という文では、「百恵、」を「百恵や、」とすることで、呼びかける意味を加えています。

7. 強調の意味。「とも、ぞ、ぜ、よ」などがあります。「武器を手に入れて魔物を倒す。」という文では、「倒す」を「倒すぞ」とすることで、強調の意味を加えています。

8. 軽い断定の意味。「さ、の、わ」などです。「大丈夫。明日がある。」という文では、「明日がある」を「明日があるさ」とすることで、軽い断定の意味を加えています。

終助詞の覚え方

日本語の終助詞の覚え方には、一般的に次のようなものがあります。

「さ・か・な・の・とも・よ・な・わ・ね(ねえ)・ぞ・や」
「魚の友よ・・縄ねーぞや」

接続詞と接続助詞の違い

接続詞は単独で文節(それだけで意味を持つ単位)になれますが、接続助詞は単独で文節になれないという違いがあります。

  • 暑かったので汗をかいた。(接続助詞)
  • 暑かった。だから汗をかいた。(接続詞)

文節に区切ってみると、以下のようになります。

  • 暑かったので/汗を/かいた。
  • 暑かった。/だから/汗を/かいた。

このように「ので」は「暑かったので」で1つの文節になっていますが、「だから」は単独で文節になっています。

  • 接続詞:単独で文節になる。
  • 接続助詞:単独で文節になれない。

助詞と助動詞の違い

助詞と助動詞は、名前が似ていることや、両方とも述語の位置につくことがあるため、混同することがあります。助詞は言葉と言葉をつなげて意味をつくるものですが、助動詞は、おおまかに言えば動詞につながって、1つの述語をつくる言葉です。

  • [助詞] 私言った。 → 「私が」で主語の意味。
  • [助動詞] 言います → 「言います」で述語。

しかし、混乱しやすいのは次のような文章です。

「シュートを打たれるな」

この文は、助動詞「れる」で受け身の意味が加わり、助詞「な」で禁止の意味が加わっています。助詞も助動詞も述語を作る言葉になっているのです。

文法用語では、使役は「ヴォイス」、「な」などの意味付けは「ムード」として分類されます。助詞がムードを作ることはありますが、ヴォイスを作ることはありません。

このような場合、活用があるか無いかで、助詞と助動詞の違いを簡単に見分けることができます。助詞は活用がなく、助動詞は活用があります

助詞と助動詞の見分け方・違い

  • 助詞:活用がない
  • 助動詞:活用がある

まぎらわしい助詞

最後に、見分けるのがまぎらわしい助詞「が」「と」について解説します。「が」も「と」も一語の助詞ですがいくつもの用法があるので、以下にまとめます。

助詞「が」の用法

助詞「が」には、(1)主格をあらわす格助詞、(2)逆説を示す接続助詞、(3)単純接続を示す接続助詞という3つの用法があります。

(1) 主語を示す格助詞

電子レンジ壊れた。

(2) 逆説を示す接続助詞

精一杯努力した、失敗した。

(3) 単純接続を示す接続助詞

その件です、本当ですか。

助詞「と」の用法

助詞「と」には、(1)順接の接続助詞、(2)逆説の接続助詞、(3)ともにの意味の格助詞、(4)引用の格助詞という4つの意味があります。

(1)順接の接続助詞

冷凍のまま炒める、固くなる。

(2)逆説の接続助詞

どうあがこう、勝ち目はない。

(3)格助詞「ともに」の意味

旅行に行く。

(4)引用の格助詞

石鹸がなくなったから買ってきて妻が言った。

さらに詳しく

日本語は書き手の心情を表す言葉が発達していて、とくに助詞・助動詞にその特徴が顕著に現れると言われています。助詞・助動詞の種類は非常に多岐にわたり、心情にあった助詞・助動詞の使用によって、奥深い表現ができます。より深く助詞・助動詞を知りたい場合は、以下の書籍がおすすめです。

助詞・助動詞の辞典
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